阪神大震災メモ #9
2014-04-09


「危機に際してこそ商人魂を発揮せよ」

(日本リテイリングセンター・チーフコンサルタント 
渥美俊一;『商業界 95/4』)


「戦後最大の被害を出した阪神大震災ほど、商店経営者の職業
に対する普段の姿勢が二極分化した事件はなかった。どこの店
でも普段は、企業としての経営理念や経営者の経営哲学を口に
している。これが口先だけのお題目であったか、それとも心の底
から本当に商業の社会的任務を自覚し・・・」

「地震が発生したのは、1月17日午前5時46分のことだった。し
ばらくは頭の中が真っ白になったとしてもやむを得まい。しかし、
・・・7時過ぎのテレビニュースを聞いた途端に、『自分は今何を
直ちになすべきか』という問い掛けを、自分自身に対して厳しく
できたであろうか。・・・つまり、『何をなすべきか』という行動方
針を考える時に、まず念頭に浮かんだのが、使命感だったのか、
逆に損得だったのかということなのだ。(中略)

私は被災した多くの経営者と話をしたが、17日当日の丸1日の
行動を時刻で表現できた経営者は、間違いなく前者に属する人々
であった。そして、『こうすればよかったと思うことは何ですか』
という私の質問に対して、客観的に『よくやった』といえる経営
者ほど、『もっとこうすればよかった』という反省を続々と訴えて
きたものだ。」

「欧米のチェーンストア産業では、こういう緊急事態に的確に対
処できるかどうかの相違は、企業文化の違いにあると説明して
いる。」


3.11発災直後に私がかかわった避難所において、北欧大型家
具店と以下のようなやりとりがあった。

「お客様を誘導していきますのでお願いします?」
「何名ぐらいですか?・・・ 人数によっては、毛布が不足する恐
れが・・・」
「それでは、当店備蓄の毛布をお貸ししますので持参致します。
他にお困りの品はございますか」
「恐縮ですが、離乳食と乳幼児用の紙おむつがあれば助かり
ます」
「かしこまりました」

市では備蓄していない日用品を外国籍の会社から提供された
という、お粗末な一席でした。
[3.11]

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